<2018年12月教育より>

「トラブルシューティング」
「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角人の世は住みにくい 」夏目漱石の「草枕」の有名な冒頭の言葉です。

トラブルシューティングとは、問題解決の一手法の事です。

問題を解決する為には、正確な事実を状況把握し、問題の根源を論理的、体系的に探る必要があり、 順を追って解決して行くのが一般的です。
自律している人々の中では互いに違う意見を持っています。 この意見の違いは本質的には価値のあるもので「平等な社会」の特質でもあります。
又意見の違いは、創造力や革新、進歩に繋がる大切な場合もあります。
世界の長い歴史の上では、それが元で戦争になったことも多くありました。
「違う」考えを持つ人は、時として厄介な人と見なされることがあります。
その同じ人をアイデアのある人、革新的な人、と見ることができるかもしれません。


★ 意見の対立への対処法には大きく5つの方法があります。
  1. 身を引く
    これは社会的に責任を求められる世界において、その責任を拒否することにも相当します。 これは何も問題を解決することになりません。

  2. 丸く治める
    別のやり方として、なだめたり、少し我慢すれば「全ては上手くいく」態度は、表面上は 調和が保たれますが、深いところにある未解決の対立がいつ吹き出すか分かりません。

  3. 強制する
      意見の対立は相手を威圧したり、抑圧で抑えることが出来ますが、一方は他方に従わなければなりません。 私たちの文化において、これは悪い結果をもたらすことが多いのです。

  4. 譲歩する
      これは違いを調整によって保つ中道的な方法です。この方法の根源にあるのは、信念を自ら 放棄することです。時が経つにつれより大きな対立を起こす場合もあります。

  5. 問題を解決する
       まず意見の不一致は当然のこととして高く評価されます。問題を深く理解して考えます。 事実は何でしょうか?  何が原因なのでしょうか?  相違点は何なのでしょうか? この問題解決という方法においては、人はそれぞれが異なる意見を持ち、事実をふまえて 不一致の解決に努力し、最終的にはお互いを理解することが可能なのです。


    問題解決の為に重要な創造性の6要素

    1. 問題への感受性 (何が問題なのかに気づく能力) 
    2. 思考の流暢さ (問題解決の為にアイデアの数を多く出せること)
    3. 思考の柔軟さ (アイデアを出す角度が広いこと)
    4. 思考の独自性
    5. 再構成する力 
    6. 具体化する力

    アイデアをまとめ解決に持ってゆくには、「独自性のある」のアイデアをいろいろ結びつけて 「再構成」し、具体的なものに仕立て上げる「具体化」が大切だからです。

    対立の処理に際しては、人に対する姿勢、例えば言葉遣い、態度などが結果を出すことに対する 配慮と同じように大きなものでなくてはなりません。そして根底には
    1. 自分たちには問題を解決する能力があり、協力によってより良い解決に至ることが出来ると 信じていなければなりません。
    2. 一方の立場が完全に正しく、他方は間違っているということはまれであると認識していなければなりません。
    3. 他者の観点から意見の違いを理解する努力を行ないます。 個人的にではなく物事を客観的に見ることの重要性を認識します。





    4. 2018年11 月16日 京都クラブ例会教育 大野三恵子作成

      参考資料
         ・教育資料C91 対立を処理する(参考資料)
        ・「問題解決手法の知識」高橋 誠 著 日経文庫
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