<2011年9月例会教育より>

的確な質問をするために
質問するために聞き手は話し手の情報を前もって得ておくと質問に深み、ふくらみが増しますが、 本日は直前教育でもあり、的確な質問をするために、何はともあれスピーチをしっかり聞いて下さい。

よく聞いているつもりでも、記憶しているのは一般に聞いた内容の20%程度といわれています。

スピーチを集中して効果的に聞くために、まずは聞くための障害となることをクリアすることです。

聞く障害となる主なものとして
・肉体的な不快感―部屋の温度や騒音、周りの動きなど
・気が散ることー一般的にはスピーカーの外観や話し方、アクセントなど
・考える速度 などが挙げられます。
・部屋の温度や騒音、周りの動きなど肉体的な不快感は大きな妨げになります、その場合は臆せず、権利主張の動議を出して環境を整えることが可能です。
・スピーカーの身なりや話し方、アクセントなどが気になってスピーカーが話していることから気がそれることがあります。スピーカーの話し方などに捉われすぎて、メッセージの本筋を見失わないように、スピーカーのメッセージに集中することです。
・また、私たちは聞くよりも4倍早く考えると言われます。考えることがスピーカーの言葉より先行してしまって自分の世界に入り込んでしまい、スピーチが耳に入らなくなることになります。

これらの障害を超えて、情報を正確に且つ明瞭に聞き取れるよう努力をし、実行することです。

耳からだけでなく言葉を使わない、アイコンタクトや、うなずいたり、 首をかしげたり、笑ったり、言葉ではないメッセージを送ることも大切です。身体レベで応答することによってスピーカーと聞き手、双方の心が通い、うまくコミュニケーションできる基盤となります。

こうして聞く環境を整え、しっかり聞いた後すぐに質問ができるようになるために心得ること:
@話を聞きながら、質問もメモする。
Aいくつか質問を作って、一番よいと思う質問を直ちにする。

話が終わってから質問を考えていては、話が終わった直後に質問できません。聞きながら、心にとまった内容や言葉をメモするついでに質問もメモします。5個以上質問を作った中で一番よいと思う質問をすればかなり精度の高い質問ができます。

よい質問とは:
公共の場では、「個人的にどうしても聞きたいけれども、おそらく他人には興味がないだろうな」という質問はよい質問とは言えません。 聴衆みんなのためになるような質問を意識して選んで下さい。聞き方がうまければ、面白い話が聞き出せます。

よい質問をするためにどんなことを意識すればいいでしょう。
よい質問のキーワード
1.「具体的かつ本質的」な質問
次の3つの質問の内、どれがよい質問だと思われますか。
  @ 今、あなたはどこにいますか?  A 普段何をしていますか? B 生きるとはどういうことですか? 
もっとも「具体的かつ本質的」な質問は@ですね。
創造的な対話や新しい意味を生み出すためには、「具体的かつ本質的」な質問を常に意識することが大切です。

2.「頭を整理させてくれる質問」
自分が聞きたいけど、相手が話したくない・答えたくない質問はよい質問とは言えません。自分が聞きたいし、相手も話したい・答えたい質問はよい質問と言えます。 相手の興味、関心を推しはかり、自分の興味と相手の関心とすりあわせて質問を考えるということ。

3.「現在と過去が絡まりあう質問」
相手の言っている文脈に沿い、自分の経験・体験を会話の中に織り込みながら話をし、さらに相手の経験世界からも上手に話を引き出す。自分の興味と相手の興味をすりあわせて質問を考える。

よい質問をするためには質問は思いつくものではなく、練り上げるものと思うのが上達の近道です。考えて質問することを習慣化すれば、効果がはっきり表れます。

さて皆さん、スピーチに集中して、耳だけでなく目、顔、からだ全体で聞いて、的確に質問をし、おもしろい話を聞き出して下さい。


2011年9月16日 京都クラブ゙例会教育 家村悦子作成
参考文献  ITCマスターマニュアル    斉藤 孝著「質問力」
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