<2015年3月例会教育より>

評価の基本
ITCにおける「評価」は、お互いが学び合うシステムとして欠かすことの出来ない大切なプログラムです。  そこには、ITCの目指す様々なトレーニングが含まれているのです。 

1. 評価って何をすること?
他の人からのフィードバックとして、評価は存在します。 もし自己評価と比べて期待はずれの評価をされたとしたら、何かが足りなかったのです。 評価の指摘を嘆くよりも、どこが足りなかったのか 冷静に分析するのです。 その改善のための手がかりを導き、援助となるのが ITCの「評価」です。


2.  評価はむずかしい? 
【評価を与える人】  聴いた人がどのように受け止めるだろうかと考えてしまうからではないでしょうか? 評価を受けて、ある人は落胆し、ある人は怒り、またある人は不十分な点を気付かせてもらってありがたく思うことでしょう。不快な感情を抱かせることを避けるために、しばしば正直な評価をすることを控えてしまいます。褒め言葉に終始してその結果、評価をされる側は、改善に繋ぐ有効な指導を受けられなかった、という後味となってしまいます。これでは、評価という学習過程そのものが機能せず、ITCの会合に悪影響すら与えかねないのです。

【評価を受ける人】 評価を快く受け入れなければ意味がありません。 「批判」される事を好む人はいないからです。 評価を難しくしている原因は、「何のために評価をするのか?」という原点の理解が不十分であるためかと思われます。

3.  なぜ・何のために評価をするの?  
ITCの学習プランの構成は、課題の実践をサポートするための様々な「教材」を利用することができ、準備し、発表します。メンバーから建設的な「評価」を受けます。それは、成長を励まし合える前向きな雰囲気の中で、よりいっそう成長するためのサポートです。 会員が受ける恩恵は、会員のみが測り知ることができるものです。

4.  評価は誰がするの?
評価は全員参加です。 評価を与える人、受ける人、そして聴いているフロアーのみなさん、すべてが参加者です。

5. どのようにするの?  
【評価を与える人】 適切でない評価には2つのケースがあります。
@ 評価の言い方が適切でないケース。
A 何を評価すればよいかをきちんと認識できていないケースで、これが厄介なのです。

何をどう評価するのかの良い判断を導くには準備が必要です。

準備@ 評価対象である課題の必要事項を前もって学び、精通しておきましょう。 評価を受け入れてもらう為に最も重要な要素は、信頼されていることだからです。
準備A 評価するポイントを準備し、チェックリストを作成するなど、コメントをするべきポイントを選択します。 これをどう定めるかが鍵です。


【評価を受ける人】 人は、不足を指摘されたときはもちろんのこと、そのコメントが役に立つものであるときでさえ、感謝したり受け入れたりするのは本来苦手です。あなたが成長するために、と提供された情報です。有効に利用するために、精神面でも感情面でも受け入れる準備をしてください。

【フロアーの人たち】  「声には出さない評価」をして参加し、学びます。
このように「評価」の目標を、関わるすべての人々で共有することが必要です。

  こうして準備と精神的な環境が整えば、次に、評価が効果的に働くための技術を各々が身につけることです。

【評価を与える人】 適切な評価技術を学ぶことは、決して容易なことではありません。実践の積み重ねが大切です。
@ 対象である課題発表を客観的、分析的に聴くこと。
A 発表するときは、具体的に、分かりやすく評価を伝えます。 良い評価の特質の1つは、明確であることです。
B 内容は、改善の可能性に焦点を合わせましょう。 ・どういうところが良かったのかを1つ述べ、どんなところが効果があったかを明らかにします。 ・改善すべき部分を1つないし2つのポイントに絞って指摘し、どのように実行したら改善されたか実例を示します。あまりたくさんのポイントについて改善点を列挙されると、聴いているほうは閉口してしまいます。 相手の経験と進歩の度合いに応じて実用的な評価をしましょう。
C 評価発表に割り当てられた制限時間を守りましょう。


【評価を受ける人】 ポイントは1つ、「評価を受け入れることによって成長する」のです。
評価を受け入れるとは、
@ 注意深く分析的に評価を聴きます。
A 客観的態度で提案を受け入れましょう。そのためには、自分が行った課題発表を、先に振り返っておくことです。 自分も評価者のひとりなのです。
B 自分を変える必要性を認めましょう。 評価者の物差しで測られるわけですから、「その物差し自体がおかしいのでは?」と、そんな時もあるかもしれません。 評価者も評価の訓練をしているのです。 自分とは違った観点から見て下さる評価、称賛であれ、批判であれ、受け入れる、 それは、ITCの自己啓発という基本的な目的に向かう確実な一歩です。
 

【フロアーの人たち】 あなたの沈黙の評価と、発表された評価者による評価、これを比較してみましょう。気が付かなかったところを発見します。今度自分が課題発表するとき、また評価者になったときのための勉強になります。 声に出そうが出すまいが、このように全員が参加することで、評価者は、積極的で繊細な評価をすることに意欲的になります。

6.  評価訓練は日常に活かすことができる?
ITCの評価の場面と、日常生活で出会う評価とは、同等に考えることは難しいでしょう。現実社会ではそうはならないからです。 関わる人が皆、分析的に耳を傾けてくれるでしょうか?建設的な評価をしてくれるでしょうか? それでも、ITCでの評価訓練によって、向き合い方を理解していれば、よく聴き、相手の自尊心を尊重した対応が出来ることでしょう。言うべきことを慎重に考えて、明確に表現出来ることでしょう。それらは、努力をとおして、時間をかけて、身に備わってゆくのです。

チェックのための評価ではなく、育成のため・成長のための評価である、と皆が理解すれば、評価することの難しさは軽減され、評価本来の目的が達成されるでしょう。評価を与える人、受ける人、そしてそれを聴く人たち、それぞれに何をどのようにするのかの方法があります。それと合わせて大切なのは、参加者みんなの心構えです。 心があって、技術も必要です。 


2015年3月20日 京都クラブ例会教育 奥谷かをる作成
参考資料  『マスターマニュアル』
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