<2016年5月例会教育より>

群読について
「群読」とは何か? 

        「群読」とは、一言でいえば「一人ないし複数の読み手で美的に音声表現する」ということである。 似た言葉に「黙読」「音読」「朗読」という言葉がある。「黙読」とは何度も何度も読んで内容を理解すること、「音読」とは文章を声に出して正しく読むこと、「朗読」とは語り手と同じ気持ちになって、語り手の立場から声を発する読みかたで、内容を深く読み取り気持ちを込めて読むことである。 そして「群読」とは複数の読み手による朗読であり、文章の内容と文体に応じて、一人や数人で、またはみんなで、などいろいろ組み合わせで朗読することを言う。
しかし、「群読とは複数人数併せてその文章の世界を表現する芸術活動である」と言われるように、ただ声を合わせて読めばいいというものではなく、一人読みした場合に加えて、作品内容が拡大増幅した、情感豊かで、美的で、芸術的な読み声となって現れなければならない。ただ蛮声を張り上げただけの一斉朗読ではない。群読はシュプレヒコールではないのでただガンガンと大声で一斉にどなるのではいけないのである。複数読み(集団読み)を取り入れることによって音声表現に奥行きと厚みが構成され、文章内容が力動的、立体的な声になって伝わり、ダイナミックに、ドラマティックに、パノラマ的に聴衆に伝わるようでなければならないのである。

一人読みの声をいかに美しく引き立てるか、そのための集団読みをいかに効果的に使ってゆくかを考えながら練習することが大事である。

さて、良い声を出して読むにはいろいろな準備や訓練が必要である。
1. よい姿勢を保つ。背筋を伸ばし体の力を抜きリラックスさせる。
2. 両足を軽く開いて床にしっかりとつける。
3. 顎を引いてまっすぐ正面を見る。
4. 大きく息を吸う。声は息、息の分だけ声が出る。

このように、正しい姿勢、正しい呼吸法で発声し、アクセント、息継ぎ、イントネーション、間の取り方、句読点、リズム、テンポ、声の大小、高低、強弱、などの音声表現のすべてに気をつける。

5. 照れ、臆病、頑固な考え等々の癖をすっかり捨てる。
6. 人に聞いてもらい欠点を指摘されたらその批判を素直に受け入れること。
7. 作品をよく読み込み理解したうえで、強く訴えたいところはどこかなども考えながらイメージを掴む。
8. 伝えたい相手、たとえば幼児、若者、高齢者、一般大衆、かによって朗読のあり方が違ってくる。つまり相手を思いやって朗読することが大切である。
9. マイクの効果的な使い方を研究する。
10. そして、大切なのは「練習また練習」である。
常日ごろ早口ことばなどを練習して訓練する。

例: ・ 生麦 生米 生卵    ・ 東京特許許可局   ・ 隣の客はよく柿食う客だ    ・ 坊主が屏風に上手に坊主の絵を描いた    ・ 青巻紙 赤巻紙 黄巻紙    ・ うちの桐戸の桐の切り口は隣の桐戸の桐の切り口によく似た桐の切り口だ


2016年5月20日 京都クラブ例会教育 立石峯子
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