<2009年10月例会プログラムより>

「 ITCの基本理念」
基本理念とは?
物事のあるべき姿ではないでしょうか。 ではITCのあるべき姿とは何か。それはITC宣誓に謳われている通りです。世界中の相互理解促進のために、コミュニケーション技術と指導力を養うことを目的とし、自己啓発と自己研鑽を積み重ねることです。

アーネスティン ホワイトの理念とITC
アーネスティン ホワイトが1939年に述べた「世界がもっとよくなるようにと人々が望み、よくするための適切な歩みを続けているから、世界はよくなるのです」は、70年後の現在でもまだ達成されたとは言えません。言い換えれば、「世の中がもっとよくなるようにと人々が望んでいるのに、よくするための適切な歩みをしていないから、世界はよくならないのです」ということではないでしょうか?
70年の歴史を経て、コミュニケーションの手段も大きく様変わりしました。メディアのあり方、通信方法の変化、など70年前には想像もしなかった方法がとられています。そうした変化の渦の中で、如何にしてより良いコミュニケーションをするかを追い求めているのが我々ITCのメンバーです。ITCはこの70年の間、大きな時代のうねりと流れの中で、ひたすらより良いコミュニケーションと優れた人材を育てることに力を注いできました。現状に安住してはいけない、常に前進する、というのがITCのあり様です。

個人とグループ
ホワイトは言いました。「グループの進歩はその中の個々のメンバーの発展向上の集計であり、また、グループの成長は自己啓発のための刺激となる」。これは即ち、個人が個々で学ぶより、グループの中で学ぶ方がより成長が大きいことを示唆しています。個人の言葉がグループの中で発せられたとき、その言葉は多くの人に波及していきます。個人が何か行動を起こすとき、それはグループに大きな影響を与えます。そして、グループはその個人の発した言葉に対して評価をし、起こした行動に反応するのです。
ITCで評価を大切にするのは、個人とグループとの関係の中でお互いに刺激を与えあいながら成長するのに必要だからです。考えて見て下さい。毎日の生活の中でも同じことが起こっていますが、日頃訓練されていない人は十分に対応できず、より良い方に向かわないことが間々あります。政治家のインタヴューを聞いていて、何とお粗末な返事かと思うことはありませんか?空気が読めない人というのは訓練が出来ていないのです。訓練には努力が必要ですが、コミュニケーションの基本は「心を大切にする」ということを知っていれば、努力することが苦になりません。より良い関係を築き、より良い方向に持っていくための努力はむしろ楽しくさえあります。

考える・言葉にする・行動する
「人間は考える葦である」といったのはパスカルですが、何故考えることが重要なのか。考える・言葉にする・行動する、これによって物事は動くのです。ITCでは、考え、コミュニケートし、活動するという段階を経て、全てが行われます。そのためには、会合のあり方の基準を定める会則があり、技術を磨くためのプログラムがあり、学んだことを示す場が用意されています。グループの中での行動ですから、そこでは協調と評価が大切な要素であり、正面から自分と向き合う必要が生じます。物事から逃げない姿勢、これは大切なことです。逃げずに自分を見つめるからこそ、成長があるのです。自分を磨くことで成長があれば、牽いてはそれが人のためになるのです。あなたが心温かく思い遣りのある素晴らしいコミュニケーターになれば、他の人もそうなりたいと思うでしょう。そして共に学ぶことに喜びを感じます。美辞麗句よりも、礼儀と思い遣りのある言葉の方がずっと人の心を惹きつけるものです。グループの中で双方向での訓練の場があることは素晴らしいことです。心と心は響き合います。言葉だけが先走っても、それは本当の意味でのコミュニケーションではません。心を磨き、言葉を磨き、自分を見つめる、これは生涯かけて身につけていくものです。ITCの訓練の真髄は正にそこにあります。学ぶことに終わりはありません。

良きコミュニケーターは優れたリーダー
良きコミュニケーターは優れたリーダーになります。そして優れたリーダーは良きコミュニケーターでもあるのです。同時に優れたリーダーは人格が問われます。
ITCはコミュニケーション技術を学ぶと同時に、リーダーとは何かをも学びます。 リーダーはどうあるべきかについて、2001年にカウンスルNo.6の会合で泉和子さんが述べられたものがあります。8項目あります。
@誠実である
A決断できる
B積極性がある
C人の能力を見出す
D人と喜びを分かち合う
E責任感を持つ
F人の前を歩かず、後ろから見守る
G相手を大切に扱う

もう一つ、ウィルナウィルキンソンが2005年の日本リージョン年次大会で行った教育セッションで述べたものです。「リーダーはボスではありません」という言葉です。作者は不明ですが、言いえて妙と思います。

ボスは リーダーは
メンバーを引っ張る 彼らをコーチする
権威に依存する 善意でやる
恐れを抱かす 熱意を持たせる
「私は」という 「私たちは」という
仕事を決める 段取りをする
「時間に来い」という 自分が時間までに行く
破綻を責めてことを済ませる 破綻を修復する
どのようになされかを見る どのようにするかを示す
仕事をつまらないものにする 仕事を楽しいものにする
「行け」という 「行きましょう」という

皆様、どう思われますか?

ITCの基本理念
良いコミュニケーターになるのも、優れたリーダーになるのも、一朝一夕で出来るものではありません。継続して学び続けることです。手を携えて、より良い世界の実現を願いつつ、コミュニケーションとリーダーシップ を向上させる努力を続けましょう。ITCの基本理念はそこにあるのです。

2009年10月16日 京都クラブ例会プログラム「1から学ぶITC」
「ITCの基本理念」作成 高木清子
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